アシドーシスとは?代謝性・呼吸性の違い/原因・症状・血ガスとアニオンギャップまで臨床で整理

アシドーシスは「血液が酸性に傾く」状態で、現場では“原因の見当たり”を早く付けるほど予後が変わります。ポイントは、酸が増えているのか(代謝性)、二酸化炭素が溜まっているのか(呼吸性)を、症状と検査で切り分けることです。

最初に押さえるべきなのは、①pH、②PaCO2、③HCO3−の3点セットで、ここから原因検索が始まります。

加えて、アニオンギャップや乳酸・血糖などを組み合わせると、鑑別が一気に現実的になります。

この記事では、臨床で使いやすい順番に「定義→原因→症状→評価→治療」を整理します。

・まず見る:pH(酸性化の有無)
・次に分ける:PaCO2(呼吸)とHCO3−(代謝)
・原因の深掘り:アニオンギャップ、乳酸、血糖、腎機能


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アシドーシスとは

アシドーシスは、体内の酸と塩基のバランス(酸塩基平衡)が崩れ、血液が酸性に傾いた状態を指します。臨床では血液ガスでpHが低いことを確認し、原因が「代謝(HCO3−低下)」なのか「呼吸(PaCO2上昇)」なのかを見極めます。代謝性は“酸が増える/重炭酸が減る”、呼吸性は“低換気でCO2が溜まる”が基本イメージです。どちらも放置すると循環・意識・呼吸に影響し、急変の引き金になり得るため、症状の重さと進行速度をセットで捉える必要があります。逆に言えば、型を押さえると「何を追加で調べるか」「何を優先して介入するか」が判断しやすくなります。

【整理表(ざっくり比較)】
項目|代謝性アシドーシス|呼吸性アシドーシス
主な異常|HCO3−低下|PaCO2上昇
代表原因|DKA、乳酸、腎不全、下痢など|COPD増悪、薬剤性低換気、呼吸筋疲労など
体の代償|呼吸でCO2を下げる(深く速い呼吸)|腎でHCO3−を増やす(時間がかかる)


原因

アシドーシスの原因は大きく「代謝性」と「呼吸性」に分かれますが、現場の思考は“病名当て”よりも「酸が増えたのか/CO2が溜まったのか」を先に決めるのが実用的です。代謝性は、①酸の産生が増える、②酸の排泄が落ちる、③重炭酸(HCO3−)を失う、の3パターンで整理できます。呼吸性は、低換気(呼吸数や換気量の低下)によるCO2蓄積が中心で、肺疾患だけでなく中枢抑制や筋力低下も重要な原因になります。混合性(例:COPD増悪+敗血症で乳酸上昇)も珍しくないため、「1本線で説明できない」時ほど検査のセット運用が役立ちます。ここから先は、代謝性と呼吸性をそれぞれ“よくある臨床シナリオ”に落として整理します。

・代謝性の型:酸↑/排泄↓/HCO3−喪失
・呼吸性の型:低換気→CO2↑
・混合性に注意:症状の割にガス所見が合わない時は要警戒


代謝性アシドーシス

代謝性アシドーシスは、体内で酸が増えるか、重炭酸(HCO3−)が失われることで起こるアシドーシスです。代表例は糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で、インスリン不足によりケトン体が増え、脱水や意識変容を伴いながら急速に悪化し得ます。敗血症やショックでは乳酸が上がり、乳酸アシドーシスとして呼吸数増加や循環不全が前面に出ることがあります。腎不全では酸の排泄が落ち、慢性的に進む場合もあれば、急性増悪で一気に症状が目立つ場合もあります。さらに下痢などでHCO3−を失うタイプは、原因が消化管にあるのに“ガスだけ悪い”という形を取りやすく、病歴聴取の価値が高い領域です。

【原因の覚え方(実務向け)】
・酸が増える:ケトン体(DKA/飢餓)、乳酸(低酸素・ショック)、中毒(薬物・毒物など)
・排泄が落ちる:腎不全、腎尿細管性アシドーシス
・HCO3−を失う:下痢、消化管ドレナージ など


呼吸性アシドーシス

呼吸性アシドーシスは、低換気によって二酸化炭素(CO2)が体内に蓄積し、血液が酸性に傾く状態です。臨床ではCOPD増悪が典型で、息切れや喘鳴だけでなく、眠気・頭痛・意識のぼんやり(高CO2のサイン)が前面に出ることもあります。原因は肺そのものの問題に限らず、鎮静薬やオピオイドなどによる中枢抑制、呼吸筋疲労、神経筋疾患、重度肥満に伴う換気不全なども含まれます。急性型はpHが下がりやすく、慢性型は腎代償でHCO3−が上がり“pHが案外保たれる”ことがあるため、数値の見かけに騙されない視点が必要です。治療は「酸素を入れる」だけで終わらず、換気(CO2を出すこと)をどう担保するかが本丸になります。

【低換気の原因チェック(例)】
・肺疾患:COPD、重度喘息、肺炎、気道閉塞
・中枢:鎮静薬、意識障害
・筋・胸郭:呼吸筋疲労、神経筋疾患、胸郭拘束
・その他:肥満低換気、睡眠関連呼吸障害の増悪


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症状

アシドーシスの症状は「酸性化そのものの影響」と「原因疾患の症状」が混ざって現れるため、単独の所見で決め打ちしにくいのが特徴です。とはいえ、疲労感・吐き気・頭痛・眠気/意識障害・呼吸困難などは、酸塩基異常で比較的よく見られる訴えとして押さえておく価値があります。代謝性では深く速い呼吸(クスマウル呼吸)が目立つことがあり、呼吸性では“呼吸が苦しいのにCO2が溜まる”という逆説的状況が起こります。症状の重さが強い、進行が速い、バイタルが崩れている、意識が落ちている、これらは緊急度が高いサインです。以下の各症状は「なぜ起きるか」と「臨床での見方」を短く整理します。

【主な症状】
・疲労感
・吐き気・嘔吐
・頭痛
・眠気・意識障害
・呼吸困難
・腹痛
・口渇感・多飲・多尿


疲労感

疲労感は、アシドーシスでエネルギー代謝がうまく回らなくなることや、循環・呼吸の負担が増えることにより生じやすい症状です。特に代謝性アシドーシスでは、筋肉や臓器の働きが“酸性環境で効率低下”し、普段の活動が一気にしんどく感じられることがあります。慢性的に進む場合は「なんとなくだるい」が続き、急性の場合は短時間でADLが崩れることがあるため、発症のスピードが重要な手がかりです。また、腎不全・感染・脱水など原因疾患側の疲労も上乗せされ、訴えが強くなりやすい点に注意が必要です。リハ場面では「普段できていたことが急にできない」「休憩しても回復しない」といった変化を、バイタルと一緒に捉えると見落としが減ります。

【観察ポイント】
・急に活動耐性が落ちたか(発症速度)
・脈拍・呼吸数の上がり方が不自然でないか
・脱水徴候(口渇、尿量低下/増加、皮膚乾燥)
・基礎疾患(糖尿病、腎疾患、感染)の有無


吐き気・嘔吐

吐き気・嘔吐は、酸塩基異常そのものに加えて、脱水や電解質異常、原因疾患(DKA、腎不全、感染など)が絡み合って起こります。代謝性アシドーシスの代表であるDKAでは、腹部不快感や嘔吐が前面に出て「消化器症状っぽく見える」のが落とし穴になりがちです。嘔吐が続くと水分と電解質が失われ、循環が不安定になり、結果としてアシドーシスがさらに悪化する悪循環に入ることがあります。食事量が落ち、内服が途切れたり、呼吸状態が崩れたりすると、短時間で状況が変わるため、症状の経過を細かく追う必要があります。リハ中に「吐き気がいつもと違う」「急に顔色が悪い」「頻回にトイレへ行く」などの変化があれば、運動負荷の調整だけでなく医療評価につなげる視点が大切です。

【チェック項目】
・嘔吐回数、摂取量、尿量(脱水の評価)
・腹痛や発熱の有無(原因疾患の示唆)
・糖尿病患者では血糖・ケトンの確認が重要
・意識変容を伴う場合は緊急度が上がる


頭痛

頭痛は、呼吸性アシドーシス(CO2貯留)で比較的イメージしやすい症状で、CO2上昇に伴う脳血流変化や眠気とセットで語られることがあります。特に慢性呼吸器疾患の増悪では「息苦しさより、頭が重い・ぼーっとする」が前面に出ることもあります。代謝性でも重症例では循環・酸素化の悪化が絡み、頭痛や集中困難として現れる場合があります。重要なのは、頭痛単体よりも、呼吸数・SpO2・意識レベル・会話の様子(受け答えの鈍さ)など“周辺情報”と合わせて疑うことです。いつもと違う頭痛に、眠気や呼吸状態の変化が重なるなら、血ガス評価の対象になり得ます。

【見分けのヒント】
・頭痛+眠気+呼吸が浅い/遅い → CO2貯留を疑う
・頭痛+頻呼吸(深い呼吸) → 代謝性の呼吸性代償を疑う
・急な神経症状(麻痺・けいれん等)があれば別の緊急疾患も並行評価


眠気・意識障害

眠気・意識障害は、アシドーシスの“危険サイン”として優先度が高い症状です。呼吸性アシドーシスではCO2貯留(高炭酸ガス血症)により、眠気、錯乱、受け答えの鈍さが出ることがあり、重症化すると意識障害が進行します。代謝性でも、重度の酸性化や循環不全、DKA・敗血症など原因疾患の影響で意識が落ちることがあり、短時間での変化が重要な手がかりになります。意識変容があると、誤嚥や転倒のリスクが跳ね上がるため、リハは即時中止し、バイタル再評価と医師・看護師へのエスカレーションが基本です。「眠いと言うだけ」で済ませず、JCS/GCS、会話の一貫性、呼吸パターンまで含めて観察すると、見落としが減ります。

【緊急度が高い所見】
・呼びかけで開眼しにくい、会話が成立しない
・呼吸が極端に浅い/遅い、または深く速い呼吸が持続
・血圧低下、冷汗、チアノーゼ
・糖尿病患者で口渇・多尿・呼気の甘いにおい(疑い所見)


呼吸困難

呼吸困難は、代謝性と呼吸性で“意味”が変わるため、呼吸の質を観察することが大切です。代謝性アシドーシスでは、体が酸性化を補正するためにCO2を吐き出そうとして、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)が出ることがあります。これは「息が苦しい」というより「呼吸が止められない」「大きな呼吸が続く」として観察されることもあります。一方で呼吸性アシドーシスは、そもそも換気が足りずCO2が溜まる状態なので、酸素投与だけで安心せず、換気不全(CO2が出ていない)をどう支えるかが焦点になります。臨床では、呼吸数だけでなく、胸郭の動き、努力呼吸、会話の途切れ、SpO2、そして可能なら血ガスで裏取りする流れが安全です。

【呼吸の見方(簡易)】
・深く速い、規則的(代謝性の代償)
・浅い、遅い、眠気を伴う(低換気→呼吸性を疑う)
・会話が続かない、補助筋使用、陥没呼吸(重症サイン)


腹痛

腹痛は、特に糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で目立ちやすく、嘔吐や脱水とセットで出ることがあります。腹痛が強いと消化器疾患として扱われやすい一方、背景に高血糖・ケトン体・脱水が隠れていると、対応が遅れるリスクがあります。腎不全や感染、循環不全などでも腹部症状が出ることがあり、原因疾患側の評価が欠かせません。腹痛+頻呼吸(深い呼吸)+口渇などが揃うときは、代謝性アシドーシスのシナリオを一段上げて考えるのが実務的です。リハ現場では「姿勢で変わる痛みか」「食事・排便・尿量と連動するか」など、短い質問で情報を足し、医療評価につなげると安全です。

【問診のミニ項目】
・発症時期(急性か、徐々にか)
・嘔吐・下痢の有無
・糖尿病歴、最近の食事量・内服・インスリン
・尿量の変化、発熱の有無


口渇感・多飲・多尿

口渇感・多飲・多尿は、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を疑う際にとても重要な手がかりです。高血糖になると浸透圧利尿で尿量が増え、体内の水分が失われるため、強い口渇と多飲が起こりやすくなります。脱水が進むと循環が不安定になり、乳酸上昇など別の要素も絡んで、アシドーシスが加速することがあります。本人は「水を飲めば楽になる」と感じやすい一方で、根本は代謝の破綻なので、早期の医療介入が必要になります。リハの場面でも「最近トイレが近い」「夜間尿が増えた」「喉が異常に渇く」が出てきたら、単なる加齢や薬のせいと決めず、血糖・脱水評価につなげる視点が役立ちます。

【見逃し防止メモ】
・多尿→脱水→頻脈・ふらつき→転倒リスク増
・口渇が強いのに元気がない、眠い:重症化のサイン
・糖尿病患者では「いつもと違う体調変化」を重く扱う


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評価・検査

アシドーシスの評価は、症状の観察だけでなく「血ガス+電解質+原因検索」をセットで回すのが基本です。まず血液ガスでpHを確認し、PaCO2とHCO3−のどちらが主に崩れているかを見て、代謝性か呼吸性かの方向性を決めます。次に血清電解質からアニオンギャップを計算すると、代謝性アシドーシスの原因が“酸が増えているタイプ”か“重炭酸が失われているタイプ”かを整理しやすくなります。さらに臨床評価(既往、薬剤、感染、脱水、呼吸状態)を重ねることで、必要な追加検査(乳酸、血糖、腎機能など)が自然に決まります。ここでは、検査ごとの「何が分かるか」を実務目線でまとめます。

【検査の流れ(簡略)】

  1. 血液ガス(pH / PaCO2 / HCO3−)
  2. 電解質(Na, Cl, HCO3−)→アニオンギャップ
  3. 原因検索(乳酸、血糖/ケトン、腎機能、感染、画像など)

血液ガス分析

血液ガス分析は、アシドーシスの有無とタイプ分けを最短距離で行える検査です。基本はpHが低いことを確認し、PaCO2が高いなら呼吸性、HCO3−が低いなら代謝性が主座と考えます。代謝性では呼吸性代償としてPaCO2が下がっていることが多く、数値を単体ではなく“セットの方向性”で読むのがコツです。呼吸性では急性か慢性かでHCO3−の上がり方が変わり、慢性ではpHが思ったより保たれることがあるため、経過や既往(COPDなど)を必ず併せて解釈します。臨床的には「眠気が強いのにSpO2が保たれている」「呼吸数が少ない」などの場面で、CO2貯留の裏取りとして血ガスが特に価値を持ちます。

【血ガスで見る3点】
・pH:酸性化の程度
・PaCO2:換気の指標(呼吸性の主役)
・HCO3−:代謝の指標(代謝性の主役)


血清電解質の測定

血清電解質は、代謝性アシドーシスの原因を“筋の良い仮説”に落とすための検査です。特にアニオンギャップ(AG)を計算すると、見えない酸(乳酸、ケトン体など)が増えているタイプか、重炭酸が失われたタイプかを分けられます。実務では、AG=Na−(Cl+HCO3−) の形で覚えておくと十分で、AGが高いならDKAや乳酸、中毒などを優先的に疑います。逆にAGが正常域なら、下痢などのHCO3−喪失や腎尿細管性アシドーシスなどを想定して病歴や尿所見に寄せていきます。電解質異常(K、Clなど)は不整脈リスクや筋力低下にも直結するため、「リハ負荷設定」の安全確認としても重要です。

【アニオンギャップの使い方】
・高い:酸が増えた(ケトン、乳酸、中毒 など)
・正常:HCO3−が失われた(下痢、腎尿細管性 など)
・電解質は“原因検索+安全管理”の両方に効く


臨床評価

臨床評価は、検査値の意味を“患者の物語”に戻す工程で、ここが弱いと鑑別が空回りしやすくなります。症状(呼吸パターン、意識、嘔吐、口渇)に加え、既往(糖尿病、腎不全、COPD)、内服(鎮静薬、利尿薬など)、直近の体調変化(感染、食事摂取、下痢)を短時間で押さえます。代謝性を疑うなら、脱水所見や頻呼吸、DKAを思わせる口渇・多尿などが並ぶかを確認し、呼吸性を疑うなら、眠気や呼吸の浅さ、既存の呼吸器疾患の増悪サインを見ます。バイタルは単発でなくトレンドで見て、SpO2だけでは換気不全(CO2貯留)を否定できない点を共有しておくとチームでの判断が揃います。リハ職としては、運動負荷の反応(呼吸数の上がり方、回復の遅さ、意識の揺れ)も重要な観察情報になります。

【短時間で聞く質問(例)】
・糖尿病/腎疾患/呼吸器疾患はありますか?
・最近、下痢・嘔吐・発熱・食事量低下は?
・眠気が強い、会話が続かない、呼吸が浅い/深いは?
・水分摂取と尿量は変わりましたか?


追加の検査

追加検査は、血ガスで方向性が見えた後に“原因を確定するための一手”として使うと効率的です。代謝性が疑わしい場合、血糖・ケトン体(DKAの評価)、乳酸(敗血症・ショック・低酸素の評価)、腎機能(Cr、BUNなど)を組み合わせると、治療の優先順位が立てやすくなります。呼吸性が疑わしい場合は、胸部画像や炎症反応、薬剤歴の確認、場合によっては呼吸機能や換気評価が加わります。感染や中毒、循環不全が絡むと、アシドーシスは“結果”として表れるため、原因に対する検査(培養、心エコー、薬物スクリーニング等)が必要になることもあります。いずれにせよ「重症度(意識・循環・呼吸)を見ながら、原因確定へ寄せる」姿勢が安全で、検査はそのための道具として選びます。

【よく使う追加検査】
・代謝性:血糖、ケトン、乳酸、腎機能、感染評価
・呼吸性:胸部画像、炎症、薬剤評価、換気の評価
・混合が疑わしい:両方を同時に走らせる


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治療方法

アシドーシスの治療は「pHを上げること」自体が目的というより、原因を止めて酸塩基バランスを回復させることが本質です。まず重症度評価(意識、呼吸、循環)を行い、必要なら酸素・換気・循環管理を優先して“崩れた生理”を支えます。代謝性は原因(DKA、乳酸、腎不全、下痢など)に対する治療が中心で、重炭酸投与は適応とリスクを踏まえて慎重に扱われます。呼吸性は換気不全の是正が核で、酸素投与だけではCO2排出が改善しないケースがあるため、換気補助(NPPV/人工呼吸など)が焦点になります。リハの視点では、治療中は負荷を下げ、呼吸・意識・循環の安定を優先しつつ、回復期に向けた安全な活動再開の条件(中止基準)をチームで共有することが重要です。

【治療の優先順位(考え方)】

  1. 命に関わる不安定(意識・呼吸・循環)を先に支える
  2. 原因治療で“酸を生む仕組み”を止める
  3. 電解質・水分の是正で再燃を防ぐ

代謝性アシドーシスの治療

代謝性アシドーシスは、原因が多彩なため「原因別に、最短で効く介入」を選ぶのが基本です。DKAでは輸液とインスリンで代謝の破綻を立て直し、同時に電解質(特にK)を安全に管理します。乳酸アシドーシスでは、ショックや低酸素、感染のコントロールが中心で、酸を中和するより“酸が生まれる状況”を止めることが優先されます。腎不全が背景なら、原因に応じて透析が検討され、酸性物質の除去と電解質・体液の是正を同時に狙います。重炭酸ナトリウム投与は重症例で検討されることがありますが、適応は状況により異なり、過換気・循環・電解質への影響も含めて総合判断が必要です。

【原因別の方向性(例)】
・DKA:輸液+インスリン+電解質管理
・乳酸:酸素化/循環の改善、感染・原因治療
・腎不全:原因治療+必要時透析
・下痢:脱水と電解質、HCO3−喪失の補正


呼吸性アシドーシスの治療

呼吸性アシドーシスでは、CO2が溜まっている=換気が足りないため、治療の中心は換気不全の是正です。COPD増悪なら気管支拡張薬やステロイド、感染があれば抗菌薬などを行い、必要に応じてNPPV(非侵襲的換気)や人工呼吸で換気を補助します。酸素療法は重要ですが、SpO2を上げることだけに集中するとCO2排出が改善せず、眠気が進むケースもあるため、意識・呼吸パターン・ガス所見を見ながら調整します。鎮静薬など中枢抑制が原因なら薬剤調整が最優先になり、呼吸筋疲労なら休息と換気補助が鍵になります。リハの場面では、眠気や会話の鈍さ、呼吸の浅さが出たら負荷を上げず、まず医療的評価(換気の確認)につなげる判断が安全です。

【介入の要点】
・目的は「CO2を出す」=換気改善
・原因治療(COPD増悪、感染、薬剤、中枢抑制など)を並行
・重症時はNPPV/人工呼吸を検討
・意識変容は悪化サインとして最優先で扱う


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